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ケーラー「フルートのための35の練習曲 第2巻」第1番を読む

 

第1巻はこちらから

 

第1巻に比べて、 より実践的な内容になっている第2巻。

 

幅広い音域を使ってダイナミックに描かれているのも特徴です。

 

そのため、“なんとなく”では吹きこなせない部分も出てくるのではないでしょうか。

 

 

そこで、今回からこの第2巻全12曲を、一つずつ解説していこうと思います。

 

別の人の視点から見た解説を読むことで、何かヒントをつかんでいただけたら幸いです。

 

それではさっそく行きましょう!

 

ケーラーのプロフィールはこちらから

 


 

調号はないことと、最初の小節の分散和音から、ハ長調(C-dur)だとわかります。

 

5小節目の分散和音はニ短調(d-moll)ですが、8~9小節目にはハ長調に戻るので、調性を判断するときには気にしなくて大丈夫です。

(演奏するときは、音色を変えて表現力をアップさせましょう♪)

 

 

テンポは「Allegro=快活に」、そしてフォルテに加えて「risoluto=きっぱりと、決然と」という指示があります。

 

無理に早く吹く必要はないですが、はきはきと16分音符らしさが出るスピードで演奏したいですね。

 

♩=112前後くらいが目安になるかと思います。

 

 

 

第1番の大きなテーマの一つが「シンコペーション」です。

 

シンコペーションとは、強拍と弱拍をずらすリズムのこと。

 

 

1小節目では、1拍目と2拍目がタイでつながっていることで、1つ目の16分音符が弱くなり、逆に2つ目の16分音符が強くなるリズムになっています。

 

ここのリズムをつかむには、タイを取ってつなげずに練習してみましょう。

 

 

ポイントは、つなげずに吹きつつ、頭ではタイをつけて演奏しているつもりで吹くことです。

 

全く別物として吹いてしまうと練習の意味がないので、「タイを上手に吹くための練習」であることをお忘れなく!

 

 

 

またきたシンコペーション!

 

ここ難しいですよね…

 

ちなみに、変なところに「a tempo=元のテンポで」がありますが、ここの小節についていると思って大丈夫だと思います。

 

 

もうほぼずっとシンコペーションなので、吹いてる間に自分がどこにいるかわからなくなりませんか(笑)

 

まずは、とにかく吹けるテンポでゆっくり練習するしかありません。

 

 

メトロノームに合わせて吹くのもいいですが、足で床を「1・2・3・4」とタップして、自分でリズムを取りながら吹くのも効果的です。

 

これはかなり高度な練習ですが、確実に自分の中でリズムを刻めるようになるので、めちゃめちゃ上達します。

 

 

あと、音符2つずつのスラーの終わりはぷつっと切らないように注意しましょう!

 

音の高さも相まって、しゃっくりみたいに聞こえてしまいますよ・・・

 

 

 

ここからの2つずつのスラーも、短く切らないように注意しましょう。

 

軽やかに聴こえるから切るようにと仰る先生も少なくないと思います。

 

 

ただ、最初から「スラーの終わり=切るもの」として認識してしまうと、どんなときでも無条件で切るように演奏する癖がついてしまいます。

 

その結果、しゃっくりのような違和感のある演奏をすることにつながってしまうんです。

 

 

なので、特にゆっくり練習するときは、スラーの終わりはディミヌエンドのように吹くようにしましょう。

 

そしてテンポアップしてから軽やかさを出すために調節する、という手順で練習するほうが安全です。

 

 

 

ここの「ソ」への跳躍もやっかいで、指の難しさと、アンブシュアの難しさがあると思います。

 

 

まず指は、特に高音域の指使いがややこしいと感じるのではないでしょうか。

 

というのも、左手しか動かさないので、どんどんこんがらがってくるんですよね…

 

 

高い音を何度も出すのもつらいので、まずは音を出さずに運指をクリアにしていきましょう。

 

左肩に頭部管を乗せると、自分の指が見れるし、楽器も安定すると思います。

 

目視で確認することで、自分の指がどう動いているのか、脳みそに理解してもらうようにします(笑)

 

 

 

続いてアンブシュアのトレーニングです。

 

以下の3つを順番にクリアしていきましょう!

  1. まず一つひとつの音がきれいに出せているか確認
  2. なめらかに2つの音を行き来できるように、ゆっくり練習
  3. 慣れたらアンブシュアの動きを小さくするように意識して吹く

 

スラーでの跳躍をきれいに吹くには、アンブシュア(唇やあご)の動きを最小限にして、かつ良い音をキープすることが大切になります。

 

楽譜のように近い音から始めて、1オクターブの跳躍までなめらかに演奏できるように、少しずつ練習を重ねてみてください。

 

上の「ソ」の音程がだんだん下がってくると思うので、よく聴きながら行ってみましょう!

 

 

 

ここの2小節間はそれぞれ「レ・ソ」「レ#・ソ」しかありません。

 

1つ前の小節まで音の動きが激しいこともあり、落ち着く分、停滞して聴こえる可能性があるので注意が必要です。

 

 

「rall.(ラレンタンド)=だんだん遅く」が後で出てくるので、その前は少しテンポアップしてみましょう。

 

テンポを上げることで推進力が生まれて、もたつきを押さえることができ、半音上がる次の小節の緊張感をより高められます。

 

 

 

そしてまた跳躍…(笑)

 

残念ながら一朝一夕でできるものではないので、気長に地道に練習を重ねていきましょう。

 

 

ここは赤丸の部分がメロディーラインとして聴こえたいので、「ソ」よりもしっかり鳴るように息を吹き込んでみてください。

 

より密度の高い音を出すイメージですね。

 

 

次の小節は、音階の動きを使ってダイナミックにクレッシェンドとディミヌエンドをかけましょう!

 

 

 

そして地味に難しいのが赤く囲った部分。

 

勢いで吹けるといえば吹けるのですが、タンギングと跳躍とで、ばたつきやすいですよね。

 

 

ここのポイントは、スラーの終わりと次のスラーの始まりの間です。

 

タンギングが強すぎたり、他の音が混ざってしまうと雑な印象を与えてしまいます。

 

 

ですので、「ラ・レ・ファ・ラ・ソ」とスラーがかかっているひとかたまりと、その次の音符までを何度か吹いてみましょう。

 

「ラ」から「ソ」へ丁寧に降りることができたら、その先は問題なく吹けるはず。

 

同じく次の分散和音も、次の音符までをセットにして練習してみてくださいね。

 

 

 

最後の2小節のポイントは、赤丸をつけた拍頭の音です。

 

音の並び的にはシンコペーションとしても吹けるのですが、ここは大きなスラーが一つかかっているだけ。

 

その場合は、拍頭の音をしっかり鳴らしておかないと滑ってしまって、何だかかっこがつかない終わり方になってしまいます。

 

 

音符4つずつでタンギングをすると鳴らしやすいので、まず短いスラーで練習するのがおすすめです。

 

赤丸の音より、次の高い音が大きくならないように気をつけながら行ってみましょう♪

 

 

まとめ

 

第2巻は「Medium Difficult」と書いてあるだけあって、解説も盛りだくさんになりました…!

 

幅広い音域を飛び回るので、吹いているうちに音がふわふわしてくることがあるかと思います。

 

そんなときは一度立ち止まって、ロングトーンなどで良い音を作り直しながら練習してみてくださいね。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました(^^)