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ケーラー「フルートのための35の練習曲 第1巻」第7番を読む

 

 

第1巻の1番から読みたい方はこちら

 

 

他の曲とはちょっと毛色が違う第7番。

 

繰り返しが多いので音符を読むのは簡単そうですが、繰り返しだからこその難しさがあります。

 

その理由や練習方法を詳しく見ていきたいと思います!

 

 


 

調号は♭が1つ。

 

最初の音階がレから始まっていて、3小節目は完全に短調の音階が使われているのでニ短調(d-moll)だとわかります。

 

テンポはAllegrettoなのでAllegroよりも少し遅めですね。

 

 

第7番の最大の特徴は、最初のメロディーが違うメロディーを挟んで繰り返し出てくることです。

 

例えば前回の第6番は「最初のメロディー→違うメロディー→最初のメロディー→終わりに向かうメロディー」という流れでした。

 

しかし今回は「最初のメロディー→違うメロディー→最初のメロディー→また違うメロディー→最初のメロディー…」と短い曲の中で3回も同じテーマが出てきます。

 

このような作りになっている曲は音楽用語で“ロンド形式”と呼ばれています。

 

 

ということで最初のメロディーを攻略すれば曲の半分ができたも同然ですので頑張っていきましょう(笑)

 

 

 

 

 

 

最初のメロディーでやっかいなのは、低い「レ」にアクセントがついていることです。

 

強く吹こうとすると音が鳴らなくなったり、裏返ったりしてうまくいかないことがありますよね。

 

 

多くの人が低い音を吹こうとすると、無意識のうちに息を下向きに吹き込んでしまいます。

 

しかしフルートは半分の息を楽器の外に出さなければ音が鳴りません。

 

また、鋭く息を吹き込むと高い音が鳴ってしまうので、手を温めるときのようなあたたかい息を出すつもりで少し上向きに吹き込んでみましょう。

 

 

そして4小節目のスラーを第5番で説明したとおり、スラーの終わりよりも頭の音(ミ)が大きくなるように吹けば完璧です!

 

 

 

次のメロディーがまあ難しいですよね(泣)

 

似たメロディーはフルートの曲によく出てきますが、どの曲でもミスしやすいポイントになっています。

 

その理由は2つ。

  1. 分散和音だから
  2. 1拍ごとに和音が変わっているから

 

 

上の楽譜は分散和音を和音としてまとめたものです。

 

フルートは基本的に複数の音を一度に鳴らすことはできないので、和音の音を一つひとつ演奏する分散和音がよく出てきます。

 

でも普段の音出しや練習では、なにかと分散和音よりも音階のほうが吹くことが多いですよね。

 

私は音階よりも分散和音のほうが得意です!という人が少数派なのは、単純に吹く機会が少ないからなんです。

 

 

さらに1拍ごとに和音が変化しているので「シ・ソ・ミ・シ」と音をたどっていては頭が追い付かなくなり、つまづいてしまいます。

 

対策としては、まず和音の響きを知ることが大切です。

 

ピアノが弾けるスマホのアプリなどもあるので、自分が吹く分散和音がどんな和音なのかを聴いてみましょう。

 

そして一つひとつの音ではなく、それぞれの和音の響きをたどるように吹きます。

 

最初は心もとないと感じると思いますが慣れると圧倒的につまづく回数が減るので、だまされたと思ってやってみてください(笑)

 

 

 

2回目のメロディーが終わると調号がシャープ2つになり、調性がニ長調(D-dur)になります。

 

音量は変わりませんが「dolce=甘く、柔らかに」という指示があるので、前半と雰囲気を変えられるといいですね。

 

口の中の形を変えたり、タンギングの強さを変えたりしてdolceを表現していきましょう♪

 

 

また7小節目にスラーはありませんが、5・6小節目と7・8小節目は同じ形なのでおそらくミスプリントだと考えられます。

 

 

四角で囲ったところはまさに前回のおさらいですね。

 

スラーの終わりをぷつっと切ってしまいやすい形なので要注意です!

 

 

そのあとはだんだんとニ短調に戻っていって繰り返しのメロディーに入っていきます。

 

そろそろ疲れてくる頃ですが、緊張感を保てるよう意識して進んでいきましょう。

 

 

 

最後の繰り返しのメロディーから終わりのメロディーに移っていきます。

 

a tempoからクレッシェンドなどは書いてありませんが、音が上がるにつれて音量も上げていきましょう。

 

 

ただし、最後の2小節が一番盛り上がるように調節することも大切です。

 

直前の高音から低音への分散和音が大変なので、力尽きてフォルテがフォルテにならない事態になりかねません(笑)

 

余力を残せるようによく分散和音を練習しておきましょう!

 

 

まとめ

 

第7番はロンド形式なので、自然と最初のメロディーの練習回数が多くなります。

 

むしろその間に挟まっているメロディーのほうが難易度が高いので、重点的に練習するようにしてみましょう。

 

またこの機会に分散和音を基礎練習に取り入れてみるのもいいですね♪

 

 

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    小杉隆史 (金曜日, 07 5月 2021 16:20)

    HPのケーラーOP35第1巻、練習に使用させて頂いてます。アドバイスポイントも的確で、練習にとても参考になります。ところで、第1巻第7番は、第6番の内容が載ってる様子で、7番が見当らない様です。。気になりましたので、ご連絡迄。もし当方の見間違いでしたら、申し訳ありません。

  • #2

    佐藤美晴 (金曜日, 07 5月 2021 20:23)

    小杉様

    コメントありがとうございます。
    ご指摘いただくまで気づいておりませんでした…助かりました。
    近々修正して公開し直します。本当にありがとうございました!