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ケーラー「フルートのための35の練習曲 第1巻」第4番を読む

 

第1巻の1番から読みたい方はこちら

 

今回は、4番を読んでいきます。

 

徐々に難易度が上がってきますので、しっかり楽譜を読んでいきましょう!

 

作曲者のプロフィールや使用楽譜については、こちらをご覧ください。

 


 

出てきました8分の6拍子!!

 

どんな楽器でも始めて間もない頃に練習する曲は4分の〇拍子がほとんどなので、混乱しやすい拍子ですよね。

 

また、速さによって拍のとらえ方や感覚の差が大きい拍子でもあります。

 

今回の練習曲は、そのどちらもやらせるというハードな作りになっております。(笑)

 

何はともあれ、まずは冒頭部分を見てみましょう! 

 

 

大前提として、8分の6拍子は1小節2拍でカウントしていきます。

 

1小節の中に8分音符が6つありますが、「1・2・3・4・5・6」と数えるよりも

 

「タ・ト・ト、タ・ト・ト」と数えたほうが、拍の頭をとらえやすいかもしれません。

 

特に冒頭は「Allegretto vivo=アレグロより速くないけど生き生きと」と速めなので2拍で数えないと追いつかないはず。

 

あまり難しく考えずに、2拍子の感覚で演奏するとうまいこと進みますよ!

 

 

拍子を取ることに慣れてきたら、4分音符の吹き分けに挑戦してみましょう。

 

よくよく見てみると、スタッカートがついているものと、ついていないものがありますよね。

 

わずかな違いではありますが、ついていない音符はフレーズの終わりにあたる音です。

 

音の長さを保つように丁寧に演奏するように心がけることで、ぐっと洗練された演奏になります♪

 

 

さて、問題はここからです。

 

rall.=ラレンタンド(=だんだん遅く)の後にa tempo.=もとのテンポで、という指示。

 

でもPiù moderato…。うーん、ややこしい。(笑)

 

もともとはAllegretto vivoで始まったわけなのでa tempo=Allegretto vivoのはずですよね。

 

しかし、音符が多くなってAllegretto vivoで演奏するにはテンポが速すぎるので、moderato寄りの速さでいいよというケーラーなりの優しさの表れ?

 

簡潔にいえば、「遅くなりすぎないでほしいけどテンポは緩めていいよ」ということだと思われます。

 

 

 

そして、ラレンタンドが書いてある小節をどのように吹くかも悩みますよね。

 

いろいろ指示が書かれていてわからなくなる箇所は、まず何も書いてないつもりで吹いてみましょう。

  1. テンポを変えずに吹く
  2. 速度を落としながら吹く
  3. フェルマータをつけて吹く

これを一つずつクリアして進めるほうが、何となく練習するより早く感覚をつかめるはずです。

 

 

では、長くなりましたが冒頭に戻って調性などを見ていきましょう!

 

 

最初の音の形に見覚えがありますか? 

 

前回の3番で解説した「刺繍音」という形です。

 

とにかくこの形があちこちに出てきますので、この曲で刺繍音はマスターしてしまいましょう!

 

調性は、調号がひとつもないことと、1小節目に「ミ・ド・ラ」があることからa-moll(イ短調)だとわかりますね。

 

 

一方でPiù moderatoは、調号が3つあって「ラ・ド#・ミ・ラ」の分散和音があるので、A-dur(イ長調)ですね。

 

3つ連続するアクセントは、前回も出てきたメロディーと伴奏の関係を際立たせるためのものだと考えられるので、やみくもに強調しないように気をつけましょう。

 

短調と長調で表情を変えられるように、長調になったら明るいイメージを持って演奏することが大切です。

 

不思議なもので、気持ちを切り替えたりイメージを変えたりするだけで音の表情は大きく変わるので、ぜひ試してみてください!

 

 

この低音のアクセントは、音が鳴らなくなってしまいやすいポイント。

 

強く演奏しようと息を入れようとするあまり、息の 向きが下に向きすぎてしまうことが原因です。

 

特に音が低いこともあって息を下向きにしてしまいがちなのですが、それによってエッジに息が当たらず、音が鳴らなくなってしまいます。

 

意識して前向きに吹くだけで音が鳴るようになりますので、少し顔を上げてみましょう。

 

最初は音がぼやけるように感じるかもしれませんが、息の密度やスピードを上げて調節すると音質も良くなりますよ♪

 

まとめ

 

見た目よりもテンポが速い曲ですが、あまり恐れずに取り組んでみましょう。

 

遅いテンポで練習していると、なかなか拍子感がつかめない可能性もあります。

 

楽譜を目で追うことで精一杯だという方は、YouTubeなどで演奏を聴いて耳や目を慣らすのもおすすめです。

 

無理のない範囲で軽やかなテンポで、音楽の流れに乗って演奏してみてください!