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ケーラー「フルートのための35の練習曲 第1巻」第2番を読む

 

前回の解説(第1巻の1番)はこちらから

 

今回は、2番を読んでいきます。

 

作曲者のプロフィールや使用楽譜については、こちらをご覧ください。

 

では、さっそく見ていきましょう!


 

まずは全体を見ていきます。

 

♯はひとつで、G・H・Dの分散和音から始まるので、G-dur(ト長調)だということが分かりますね。

 

速度記号はAllegretto。Allegroよりは落ち着いたテンポで、という指示です。

 

でも、「それって結局どんな速さだよ」って思いませんか?

 

そこで注目したいのが、拍子記号と音符の種類です。

 

実際の楽譜では4分の2拍子ですが、下の画像のように4分の4拍子に書き換えることもできます。

 

どうでしょうか?

 

なんとなく楽譜を見たときに受ける印象が違いますよね。

  • 16分音符が連続しているほうが素早く吹かなきゃいけなそう
  • 8分音符のほうが少し平和的に見える

このように感じた方も多いのではないでしょうか。

 

純粋に16分音符を読むための練習曲だから、という理由かもしれませんが、

 

少なくとものんびりした雰囲気の曲ではないことが分かりますね。

 

 

また、4分の2拍子は「1・2、1・2」、4分の4拍子は「1・2・3・4、1・2・3・4」と数えることで、それぞれの拍子の個性が生まれます。

 

例えばこの曲を「♩=48」の速さで演奏すると、「1・2・3・4、…」と4拍子の数え方をしたくなってしまうはず。

 

それでは2拍子の雰囲気が損なわれてしまうので、まずは「♩=80」を目指して練習していきましょう!

 

 

 

目安のテンポが分かったら、次に音量を考えてみます。

 

第1番と同じように、強弱記号は数えるほどしか書かれていません…。

 

しかし、冒頭は「energico=力強い、エネルギッシュな」という言葉が書かれているので、しっかりとした音量で演奏することが好ましいかと思います。

 

2小節目と4小節目の終わりの音はアクセントがついているので、短くならないように気をつけましょう。

 

 

そして星印から雲行きが変わり、調性が短調になります。

 

8分休符の後からはメロディーも変わってくるので、一度音量を下げるとメリハリがつきますね。

 

 

pから始めておけば、後に出てくるfがよりいかせるはずです。

 

さらに、星印のところからは同じメロディーが繰り返されるので、似たような音量で演奏せずにすみます。

 

 

そして曲の終わりには「半音階」が出てきます。

 

半音階は他の音階やアルペジオに比べて、なめらかな動きを表現できます。

 

そのためには音の粒をそろえることが大切です。

 

特に3オクターブ目の指使いはバラつきが出やすいので、ゆっくり練習してみてください。

 

しっかりとした息でクレッシェンドをかけると、より半音階が効果的に聞こえますよ!

 

 

まとめ

 

エネルギッシュにという指示の通り、全体的に大きめの音量が求められる練習曲です。

 

そのため、前半から全力投球してしまうと、後半に疲れが出てきやすくなります。

 

ペース配分をしつつ、通して練習を重ねることで徐々にスタミナがついてきますので、無理のない範囲で挑戦してみてください♪